砂鉄を巡るワンダーランド
砂鉄といえば、よく出てくるのが溶かして固めることはできるのか?という疑問だ。
砂鉄の主成分である四酸化三鉄Fe3O4の融点はwikipediaには1597℃とあり、
1594℃に達すると分解されるとある。これは常温常圧下におけるものだ。
一方で、マグネタイトの大きめの結晶や、餅鉄は自然界で得られるので、
高温高圧下の溶融状態からFe3O4の結晶や、
比較的Fe3O4含有量が多い塊を得ることはありうると考えられる。
したがって、砂鉄を溶かして結晶を作ってみた!とか、塊を作ってみた!
みたいな呑気なコンテンツの作成は圧力の問題でちょっと厳しそうだ。
鉱物が貴重な理由は、私たちの生活圏では高圧の実現が困難な事にある。
さて、それでは、本題に入ろう。
上記の理由で、単純な溶解で四酸化三鉄の塊を得るのは難しいことが分かった。
そこで、砂鉄といえば製鉄である。
まず、重要なポイントなのだが、鉄本来の融点は1538℃とあるが、
鉄と炭素の合金とすることで、融点を下げることができるという特性がある。
これにより1200℃以下まで融点を下げることが可能となる。
もちろん、炭素は加熱に必要な熱源でもあるのだが、炭素の供給源にもなっているのだ。
製鉄では、たたら製鉄系の製鉄を試みる人もいるが、
もう少し簡便な策が取れないものかと思っている。
理由は、必要な火力を得るのに失敗している事例が見受けられるのと、
余計な混ぜ物が多い分、複雑な系になりやすい気がするからである。
そこで、太陽炉を使う案を提案したい。
太陽炉とは、ガンダム00で出てきたアレではなく、
鏡で太陽光を集光して加熱するものである。
数千枚の小さな鏡で一点に集光する事で、超高火力を得ることができる。
ただし、滅茶苦茶危険なので、火事には注意していただきたい。
幼児の接近できる場所に置かないことや、
使用していない場合に、鏡の前面を燃えない素材で覆い、
かつ、厳重に光から遮断する必要がある。
また、危険な代物なので、凹面鏡様の既製品は入手しづらくなっていると思う。
よって、全てハンドメイドで作る必要がある。
砂鉄と炭素源の混合物に、一点集中で太陽光で加熱するという
超シンプルな製鉄方法であり、理論上は十分可能性があると思う。
他には、砂鉄をリン酸で溶かしてリン酸鉄として回収するという案もあるのだが、
ナメクジ退治等しか用途が思いつかないのでやる気が起きない。